6月4日(日)礼拝説教全文

「造り主を心に刻め」 伝道者の書(コヘレトの言葉)12:1~4            

 コヘレト書は、イスラエルの第三代王ソロモンの書であると言われていましたが、最近はさらに後代の人物が書いたものではないかと言われています。作者不明にしても、このコヘレト(人を集めて語る者・伝道者)の言葉は作者がソロモンであっても少しも違和感はありません。彼は、全ての事を判断出来る特別な知恵を神より賜り、先にも後にも彼に並ぶ王はなく、彼の生涯は富と誉とに満ちていたからです(第Ⅰ列王3:11~13)。このコヘレト書は、全ての栄華を極め、全ての理を探求した彼が書き記したものであると言えます。 

コヘレト書は旧約聖書では知恵文学に分類されます。知恵文学書は他に詩篇の一部、箴言、雅歌があります。

 皆を集めて語る者の結論は、財であれ知識であれ、偉業であれ、名誉であれ、良いもの、悪いものであれ、どんなに多く得ても、人間の欲求を満たすものはなく、一切は「空(くう)である」「むなしい」(1:2)というものです。何もかも得た彼の心は、何をもってしても満たされないのです。それゆえ、彼は人の生きる目的、知恵、その本分を訪ね求める者に対して、「事の帰する所は、全て言われた。すなわち、神を恐れ、その命令を守れ。これは全ての人の本分である」(口語訳12:13)と語ります。人として羨ましい限りの人生でありますが、これが彼の結論なのです。

 人間(私達)は自然発生して進化し、人間となったのでしょうか。それとも神によって目的をもって造られたのでしょうか。現代の多くの人は「進化論」を信じています。人は猿から進化した、と。人は動物と何ら変わりなく、自然に発生してやがて無くなってしまうのだから、生きる事に本来の意味はない。それが冷静な良識ある科学的な考え方です、とこの世の知者と言われる人はまことしやかに語ります。果たしてそうなのでしょうか。

道を伝える者は言います「若き日に、あなたの造り主を心に刻め。」「あなたの若い日に、あなたの創造主を覚えよ」(新改訳)。あなたの人生は、自然発生して自然に寿命を終える意味のないものでは決してない!神によって創造された、かけがえのない、価値ある、尊い存在なのだ、と。全ての作られた物には、作られた目的があるように、私達にも、私達の人生にも目的があり、使命があるのです。私は誰かの博識の意見や説ではなく、この聖書のことばを信じます。「主を恐れることは知識の初め。無知な者は知恵も諭しも侮る」(箴言1:7)

 私達にはそれぞれの立場や役割があります。日本人であり韓国人であり、子であり親であり、妻であり夫であり、医者であり〇〇会社の社員であり、上司であり部下であり、親友であり敵対者であり、その中で、私は何者であると他者は見るのか、又、自分は何者であるのか、そのアイデンティティが形成されていきます。それらは実際、個々の人生において非常に大事なものです。

しかし、それらは神によって造られた人の本分ではない。以前にもお話ししましたが、人は神に似せて造られて、神の息が吹き入れられた者、霊的な存在です。人は「上を見上げる者(アンスローポス)」と言われ、それが本文なのです。私の創造主である神を見上げるのです。。

聖書が私達に対して示す罪とは、盗むこと、殺すこと、偽証をすること等の行為の罪の他に、この本分の欠落に対してです。罪=ハマルティア 的外れ 本来の道を歩んでいない、本来の生き方をしていないこと。

 コヘレト書は、この本分が欠落した人生は、何をもってしても「空」だと言うのです。そして、神を恐れない者に対して、神は、善であれ悪であれ、私達の思いと行動、全てをさばかれると宣言しています。

人には本分などない、私の人生の終わりには神の裁きもない、と考えて神を侮ってはなりません。 

今日から、この世界、人間、そして私を造られた創造主に立ち返り(心に刻み)、神を恐れ、神の命令を守る歩みをスタートしてください。今が決断の時です。

「災いの日」 生老病死

12章3~7節は、人の「老い」について、知恵の言葉を用いて克明に表現しています。

しかし、「老いても」尚、希望と喜びがあります。これは神を信じる者の特徴です。

この地上での生活が全てではないと知っているからです。

「あなたの造り主を心に刻め。『私には喜びがない』と言うよわいに近づかないうちに。」(1節)

月日は容赦なく過ぎていきます。しかし、私達は「造り主を心に刻みます」。

竹田広志's Ownd

千葉県八千代市勝田台7-27-11 電話 0474-84-5045 牧師 竹田広志

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