9月10日(日)礼拝説教全文 説教者:大西一功師

最後まで耐え忍ぶ者は救われる

マタイによる福音書 24:3~24

明日は9月11日です。22年前、2001年9月11日夜、我が家での家庭集会が終わって、出席されていた方をお送りしました。丁度10時だったと思います。テレビのスイッチを入れた途端に目に入ってきたのは、ニューヨークのマンハッタンにある世界貿易センタービルに旅客機が衝突して煙がもうもうと出ている画面でした。その数分後、もう一機の旅客機がツインタワーのもう一つのビルに突入しました。その後の21世紀の世界の混乱を象徴するような画面でした。

 先ほど読んでいただきました聖書は、弟子たちが神殿の立派さに気を取られていた時、イエス様が「ここにある建物はやがて崩れ落ちる」と言われ、弟子たち(マルコ福音書によると、ペトロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレと出ています)がイエス様に「おっしゃってください、そのことはいつ起こるのですか。また、あなたが来られて世の終わるときには、どんな徴があるのですか」と尋ねたことにイエス様が答えられた言葉です。主の弟子たちの問は二つありました。一つは神殿が崩れ落ちるのはいつか、もうひとつはイエス様が再臨されるときにどのような前触れがあるかということです。主の再臨は新約聖書の他の個所では「主の日」とか「終わりの日」と呼ばれています。

 イエス様はこれに対して、神殿が崩れ落ちるときはいつであるとは答えられませんでしたが、そのことが起きる時にどのようにするべきかを15~22節で示しておられます。ユダヤ人でローマの統治に反対する人たちが66年に反乱を起こしました。ローマの軍隊が反乱を鎮圧するためにユダヤ人を攻撃し、AD70年にエルサレムの神殿を破壊しました。

 第二の主の再臨に関する問いに対して、イエス様が話されたところが今日の聖書個所です。イエス様は、主の再臨の前に教会や社会、人々の心がどうなるかを語られました。4,5節は教会に起きることです。イエス様は「惑わされないように気をつけなさい」と警告されました。また、偽預言者、偽キリストが出現すると言われています。6~9節は世界で起きる現象です。戦争、民族紛争等の国際紛争、ききんや地震が起きる (ルカ福音書では疫病、天変地異が起こる)と言われています。また、これらのことは起こらなければならない(必ず起きる)、すべては生みの苦しみであると言われました。10~12節は教会をも含めたすべての人々に及ぶことです。キリスト者は人々から迫害を受け、世の人々の間では裏切りや憎み合うようになり、偽預言者が多くの人々を惑わし、不法がはびこり、多くの人の愛が冷えると言われています。13,14節で、キリスト者に対して、信仰をもって最後まで耐え忍ぶ者は救われると励ましておられます。さらに、神の国の福音がすべての民族、国々に伝えられ主の日が来ると言われました。

 イエス様は十字架にかかられたとき、私はまた来るとお約束されました。またイエス様が天に上げられたとき、み使いが「ガリラヤの人たち、なぜ天を見上げて立っているのか。あなたがたを離れて天に上げられたイエスは、上っていくのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またお出でになる」(使徒1:11)と言われました。イエス様の再臨は、「終わりの時」とか「主の日」とも言われています。マタイ25:31~46節でイエス様は「その時にはすべての人が裁かれる」、また、「その日がいつかは、神の他は誰も知らない」(24:36)と言われています。

イエスは「人に惑わされないように気をつけなさい」と言われました。「人を惑わす」とは、ありもしないことを事実と思わせたり、恐怖に陥れたりすることです。偽キリストが大勢現れると言われましたが、言葉巧みに人々に語りかけ、自分が救い主(キリストだ)と名乗る者が現れるということです。このことはヨハネやペトロ、パウロも証言しています。パウロは、「主の日は、盗人が夜来るように来るということを、あなたがた自身よく知っているからです。人々が『平和だ。安全だ』と言っているときに、ちょうど妊婦に産みの苦しみが訪れるように、突如として滅びが襲ってくるのです。決して逃れることはできません。しかし、きょうだいたち、あなたがたは闇の中にいるのではありません。ですから、その日が盗人のようにあなたがたを襲うことはありません。」(テサロニケ5:2~4)また、ペトロは「主の日は盗人のようにやって来ます。その日、天で激しい音を立てて消えうせ、自然界の諸要素は焼け崩れ、地とそこで造り出されたものも焼けてしまいます。」(Ⅱペトロ3:10)さらに、ヨハネは「子どもたちよ、今は終わりの時です。反キリストが来ると、あなたがたがかねて聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。このことから、今が終わりの時であることが分かります。」(Ⅰヨハネ2:18)

 2000年の世界歴史において、どの時代でも異端や偽キリストが出現し、戦争や民族紛争は絶えたことがありません。また、地震や天変地異が幾度となく起きています。さらに、多くの人が殉教しています。使徒たちが世界に福音を伝えていた頃にも、異なった福音を語る者が出ました。キリスト教の世界では、313年にローマ皇帝コンスタンティノス大帝によるミラノ勅令によってキリスト教が公認されるまでキリスト者の迫害がありました。しかし、教会が時の権力者と手を組むことになり、教会が人の権威のもとで活動するようになり、東西教会の分裂、西方教会の分裂(シスマ)などが起きました。14世紀から15世紀にかけて英国のウイクリフやボヘミヤのヤン・フスなどが、人の権威ではなく神の権威を第一にすべきであると主張し、カトリック教会から異端とされて殉教しました。そしてルターによる宗教改革へと向かいました。西方教会は、カトリック教会とプロテスタント教会に分かれました。

18世紀から19世紀にかけて英国では産業革命が起こりました。その結果、人々の生活が大きく変わりました。19世紀末、科学技術の発展を体験したヨーロッパの人々は、やがて来る20世紀は(神の支配のもとで)平和で豊かな世界が来ると期待していました。しかし、20世紀に2度の世界大戦が起きました。その後も戦争は絶えることはありません。1954年頃から続いていたベトナム戦争は1975年に終わりましたが。21世紀に入ってすぐにニューヨークのテロ事件が起きました。

19世紀以降、科学技術文明により、快適な生活が暮らしを変え、人々は平和な世界が来ると期待しました。しかし、人の欲望はより多くの富を求め、自分さえよければと不法がはびこり、戦争においても残忍さは増しています。第二次世界大戦以降、原子力を使った技術により、人は人類だけでなく地球をも破壊する技術を持つことになりました。それだけでなく、科学技術は人の心をも欺く技術をも造り出しました。近年はSNSやインターネットの普及で、世界中の情報が瞬時にして分かるようになりました。SNS では多くのフェイクニュースが流され、また言葉だけでなく、画像をも加工する技術が人々の心を欺き、社会を分断しています。明らかに、イエスが警告し、ペトロ、ヨハネ、パウロらが語った世の惑わしの霊が明確な形で現れてきているように感じます。

イエス様は、これらのことは必ず起こり、産みの苦しみの始まりであり、最後まで耐える人は救われると言われました。

 ニューヨークの航空機によるテロの後、ニューヨークタバナクル教会のジム・シンバラ牧師は「グラウンドゼロからの神の恵み」という本を書きました。彼はその中で、永遠の栄光を目指し、神にすがりつく信仰をもって一日一日を過ごすことを強調しています。そのためには、神の聖霊を悲しませる事柄に敏感になるようにと勧めています。

パウロは「どのような時にも、霊によって祈り、願い求め、すべての聖なる者たちのために、絶えず目を覚まして根気よく祈り続けなさい。」(エフェソ6:28)と書いています。

旧約聖書で約束されたメシアの来臨はイエス・キリストが地上に降られたことで成就しました。イエスは「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて、福音を信じなさい」と言われました。イエス様が来られて、この地上に神の国が来ました。しかし、神の国はまだ完成していないのです。神の国の完成は、福音が全地に告げられ、その後、主イエスの再臨によって完成されるのです。その前に今日聞きましたように、戦争や自然界における天変地異による苦難、偽預言者による惑わし、不法がはびこり、人間から愛が失われる。そのような中で、最後まで耐え忍ぶ者は救われる、と言われました。様々な不法や暴虐、愛の欠如に耐え忍ぶにはどうすればよいでしょうか。私たちの人間の力では到底耐え忍ぶことはできません。自分の力に頼るのではありません。招詞(申命記30:20)で聞きましたように、「主に付き従う」信仰です。また、今日、交読したように(詩編18:32)「この神こそ、その道は完全であり」真実の言葉をもって私たちを導く方です。主の他に神はおられません。その神を主として、その方にすがりつく信仰です。人間の力では耐え忍べないのです。

これから賛美しますが、主なる神様が私たちを覆ってくださるならば、どんなにひどい嵐のような苦難の時も、主イエスのもとに平安があります。また主イエスの愛から離す者はありません。私たちは常に「神はおられる、人が見ていなくても神は見ていてくださり、助けてくださる」という信仰を持ち続けるならば、耐え忍ぶことができるのです。

 最後にパウロとヨハネが「主の再臨」についてどのように教えているかをあげておきます。

Ⅰテモテ4:1「しかし、霊が明らかに言われるように、後の時代になると、惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰からこのことは離れる者がいます。このことは、偽りを語る者たちの偽善によって引き起こされるのです。この偽りを語る者たちは、自分の良心に焼き印を押されており、結婚を禁じたり、食べ物を絶つように命じたりします。しかし、食べ物は、信仰があり、真理を認識している人が感謝をして受けるようにと、神がお造りになったのです。」

Ⅰヨハネ2:19「彼らは私たちから出て行きましたが、もともと私たちの仲間ではなかったのです。仲間なら、私たちのもとにとどまっていたことでしょう。しかし出て行き、私たちの仲間でないことが明らかになりました。」

Ⅰヨハネ4:1「愛する人たち、どの霊も信じるのではなく、神から出た霊かどうかを確かめなさい。偽預言者が大勢世に出て行ったからです。」

Ⅰヨハネ4:6「私たちは神から出た者です。神を知る人は、私たちに耳を傾けますが、神から出ていない人は、私たちに耳を傾けません。これによって、真理の霊と惑わしの霊を見分けることができます。」

竹田広志's Ownd

千葉県八千代市勝田台7-27-11 電話 0474-84-5045 牧師 竹田広志

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